2010年8月24日火曜日

箱のワークショップ

先月、箱のワークショップ in 世田谷ものづくり学校 に参加してきた。久しぶりの都筑先生の授業、楽しかったな。他の生徒さんも良い方ばかりで、少人数だし、とっても充実。途中、あまりの集中に蝉の声が聞こえなくなったほど。先生も、終了の声をかけずらかったと言っていたっけ。(笑)

基本的には、先生のベーシックの授業を終えた人が対象とのこと。ボール紙を互い違いに組み上げて、ボール紙が見えないように、用紙を貼って完成。と、書くと簡単そうだけど、実際は、製本用ボンドが乾くのを待ちつつ、紙ヤスリで削りながら、削れた粉を隙間に埋めつつ、箱の一体感を出していくという地道な作業。でも、少しずつコツをつかめると、手作業ならではの面白さがあった。時間は、13時〜19時まで延長してもらったのに、残念ながら終わらず。翌日、家で2時間くらい集中して完成。製本では使わない道具(スコヤ 等)との出会いも、なかなか面白かったな。「箱 = プロダクト」を自分で作れる可能性が広がったのだから、また何かに発展させたい。


ベーシックで習ったものを入れてみた。


左は、最後にかけ足で習った紙の箱。右下は、夫の箱。


最近、気になった箱を2つ。自分用にメモ。

モノの美しさと香りに負けて、購入した ISSEY MIYAKE の香水の箱。流木に着想を得て誕生したとのこと。菱形という形態もセンスを感じる。


こちらは、木でできたマグネットを納めた箱。トレペの下から数字やブランド名「hum」がうっすらのぞいていて、さりげない感じが素敵。

横井軍平展って?

まったく興味がなかったけれど、たまたま聞くことになった、岩井俊雄さん、田中宏和さん、真鍋大度さん、牧野武文さんのトークイベント「横井軍平展」in VACANTが面白かった。

そもそも任天堂は、ゲーム会社だと思っていたけれど、当初は、花札・トランプを作っていたらしい。展覧会名になっている横井軍平さんという優秀な社員がいて、その方の影響を、岩井さんをはじめ、多くの人たちのモノづくりに、今も影響を与え続けていることを初めて知った。

もともと横井さんは、設備の保守点検が仕事で、暇つぶしに作ったマジックハンドが、たまたま社長の目にとまったところから、ゲームづくりをスタートさせたとのこと。マジックハンド以外にも、光線電話 LT(※1)、ラブテスター(※2)のような商品が、その当時おもちゃとして世に出ていたとは。

一番印象に残っているのは、岩井さんのプレゼンテーション。
会場の人たちに魅力を説明するには、なかなか難しいインタラクションゲームを、会場のプロジェクター以外に、ビデオカメラで手元を写したり、PCに切り替えたり、スーパーファミコンを準備したり、30分という短い時間を有効に伝えるための準備がされていて、岩井さんの作品に対する想いが伝わってきた。

内容的には、「Tenori-on」という商品がいきなり誕生した訳ではなく、サウンドファンタジー(ゲームソフト)、展覧会用に手売りしたゲーム機など、音と光を一緒に楽しむというアイデアをいくつか形にしながら、「Tenori-on」が生まれたことが分かった。岩井さんのゲームは、一般的なゴールに向かうゲームと違って、光と音を楽しみながら遊べる、操作側の創造に委ねている楽器ゲームのような印象を受けた。また、すべてのアイデアに、美意識のセンスを感じた。

ご本人曰く、横井さんとの共通点は、「光線電話 LT」と「Sound-Lens」という作品が、どちらも光と音の波長を置き換えることで成り立つ作品で、知らないうちに同じアイデアを形にしていたという話だった。

任天堂の強みは、ゲームキャラクターを記号に置き換えたとしても面白さが伝わることを心がけていて、「モノ」と「体」の関係で成り立つ、面白さの本質をとらえていることだと言っていた。アナログからデジタルまで、面白さをそのままにおもちゃを作り続けた数少ない人らしい。と、すっかり面白さに魅せられて帰ってきたという、不思議な1日だった。

※1: 声を光に変え、受けた光を音に変換するトランシーバーのようなもの
※2: 2人の相性によって針が振れるというもの

岩井さんのプレゼンテーションの様子。


商品化されたマジックハンド。


展覧会の様子。