2013年3月8日金曜日

SCHOOL 3.0

去年の暮れ、今年の始めに、上田先生大西景子ちゃんの企画する 「SCHOOL 3.0」WSにゲストスタッフとして参加してきました。

そもそものきっかけは、「未来の自分になってみよう」というWSを企画していて、 AXIS誌の表紙ポートレイトのように撮影をしてみたいので、 簡単なアドバイスをもらえないか、という流れでした。 それくらいなら、と引き受けたのですが、 日に日にオーダーは変化していき、当日のオーダーは、 < ひょえー、マジですか… > の連続に、グッタリして終わったように記憶しています。

でも結果的には、巻き込まれたからこそ気づけたことがたくさんあって、 貴重な体験をさせてもらったなぁ、と思っています。

あげれば切りがないけれど、 一番良かったのは、上田先生と景子ちゃんをはじめ、 参加された方たちの本気の想いみたいなものに触れた感触だったように思います。

上田先生や景子ちゃんの持つ言葉の魅力や、当日の配慮だったり、 栗原さんの、当日に備えたブラッシュアップだったり、 岡部先生、りえちゃんコンビによる、スピーディな対応や心意気だったり、 あすかちゃんの圧倒的なフットワークの軽い仕事ぶりに、 忘れかけていたものを思い出したような感覚がありました。 肌で感じたのは、上田先生の言う、 「connected confidence(つながっりあった自信)」だったのかもしれません。

岡部先生も語っていたけれど、 個人の能力は、皮膚の内側だけで構成されている訳ではなく、 その場に居合わせた、皆さん「を含んだ私」こそが「私の能力」なんですよね。 いろんな解が、状況にあるとは、そういうことなのかもですね。

一番の発見は、Real time videoという手法が衝撃だったように思います。 WSが終わった後も、当日の振り返りが出来るよう、 参加者目線で作られたムービーは、とても魅力に溢れていました。 一つは、当日のエンディングに上映してしまうという、圧倒的なスピードにまず感動しました。 普段の制作進行ではあり得ないスピードだと思うのです。 もう一つは、ミュージックビデオとして制作してしまうところかもしれません。 皆さんの生き生きとした表情が印象的だし、 「音楽」と「映像」の魅力を、改めて感じました。

以前は、ちょっと偏見を持って見ていたところがあるのですが、 参加してみて分かったのは、圧倒的な充実感と楽しさだったように思います。 事前準備は、めげそうになった事も多々ありましたが…。

個人的には、AXISの表紙に関わっている者として、 皆さんにどんなことが伝えられるだろうか、と普段の仕事を振り返ったり、 レコードジャケットのデザインは、初めてだったので戸惑いもあったけれど、 デザインのコツを掴み、少ないバリエーションで対応するための作業効率を、 よくよく考えるきっかけにもなった気がします。 考えてみたら、撮りおろしの写真でデザインさせてもらうのも贅沢だし、 ポスターのような大判サイズに出力してもらったり、 ムービーの中の一コマとして、レイアウトしたものを見ることが出来る経験も、 貴重だったように思います。 写真の魅力を再確認する機会にもなったし、 良いタイミングで誘ってもらった、有難い機会だったように思います。

皆さん、良い年明けをありがとうございました!


第一回を無事に終えて、安堵の記念撮影。

これは、プレイベントの時のRTV。

こちらは、記念すべき第一回目のRTV。
* * *

どんな経験も、言葉に落としながら、理解を深められるような年にしてみようかな、とぼんやり思う年始めとなりました。今年こそ、もう少しブログの更新を…。

2012年1月13日金曜日

阿部雅世さんのワークショップ

2010年の11月、阿部雅世さんのデザインワークショップに参加してきました。東京・白金の自然教育園で、アルファベットと数字を探し出すというもの。その名も「デザイン体操」。これを体験しただけで、こんなに日常の見え方が変わってしまうとは驚きました。行きも帰りも同じ経路なのに、見える景色が変わってしまうのです。その後も2週間くらい効果が持続しました。というのも、都内でできる体操として、面白い光や影、動きを探して写真に撮り、それに名前をつけ、その現象の原因を考える、というトレーニングを教えていただいたのです。そういう視点で探していくと、まぁなんと見たことのない景色が広がっていたことか…。会社のトイレで発見した光を前に、iPhone片手に写真を撮る始末です(笑)。他にも、天気の影響を受けて景色が変わり、例えば雨の場合、細かい水滴、水たまりなどに写る光など、その時にしか発見できない光が姿を表しました。

森に探しに行ったものは、アルファベットと数字だけなのに、日頃頭をかかえていた問題の解もすっと見つかってしまうという不思議な一日でした。

グラフィックの仕事に関わっているからか、森にいるのに、文字に対する気づきが多かったのも面白かったです。線の太さや長さ、文字内のアキ、背景とのコントラスト、あらゆる条件を満たすことで、文字は認識されるということを再発見しました。しかも、時間が限られているので、ものすごいスピードで判断を繰り返すため、文字に向き合いざるをえなかったのかもしれません。

このワークショップが宝探しゲームのように感じたのは、初対面の人とあいさつもそこそこに、いきなりチームを組み、自分の所属に関する自己紹介は禁止され、ファーストネームのみの自己紹介で始まってしまうという影響も大きかったように思います。阿部さん曰く、日本人は所属を意識しすぎると。また、同じ職種で集まりたがるので、業種がかぶらないチーム構成にしています、とのことでした。

他にも、この体操を通して、森の生態系を知ることにもなるそう。定期的に森を観察することで、季節ごとの表情を知り、どんな場所に、どんな木が生えているかなどが分かるようになるそうです。
多くの情報で溢れた森の中から、何かを探し出すということは、闇雲に探しても意味がなく、この辺りで発見出来そうという「勘」を働かせることになるので、この「勘」が、現代のような情報社会を生き抜いていくのに、嫌な目に合わなくていいですよー、と軽やかにおっしゃっていたのが印象的でした。

* * *

ワークショップでの収穫が多すぎて、内容を考えているうちにバタバタと1年以上経ってしまったけれど、自分の忘備録として。いろいろな事があった2011年。2012年は、少しずつでも前へ進む年にしてみよう。

2011年1月11日火曜日

New Years Greetings 2011

今年も、New Years Greetings 2011 に参加させてもらいました。
早いもので、残り4日間となりましたが、お近くにお住まいの方は、良かったら、のぞいてみてください;-)

スタジオ「PLY.」をオープンさせたばかりのmegropressのyokoさん、今年の活躍が楽しみなあちらべのお二人、ananas pressの都筑晶絵さん+山元伸子さん、Annaさん、山田理加さんの年賀状も楽しみです。


-----
2010年に初めて立ち上げご好評を頂いた年賀状展を、
多くの方のご協力で来年も開催できることになりました。

活版、グラフィックデザイン、写真、イラストレーション、
版画、製本、カリグラフィー……
さまざまな分野で活動している方々から送っていただいた年賀状を展示します。
それぞれの思いで作られた年賀状の一枚一枚を、見て触って、お楽しみください。

2011年1月8日(土)〜1月15日(土)
12時〜19時 最終日は18時まで
会場=ギャラリーみずのそら 
〒167-0042 東京都杉並区西荻北5-25-2 
Tel/Fax:03-3390-7590

赤井都 / 浅井陽子 / あちらべ / atsumi / Anna Gleeson / あべちほ / 阿部真弓 / イイダ傘店 / 伊香英恵(A.A.E.textiles)/ 石曽根昭仁 / 伊藤絵里子 / 稲垣早苗 / 井上沙紀 / 井上陽子 /イマジョウデザイン/ 入澤花絵 / 岩瀬敬美 / UZ DESIGN FACTORY / 大浦美和 / 大塩あゆ美 / 大沼ショージ / 尾形かなみ / 小熊千佳子 / 尾田美樹 / 尾柳佳枝 / 海岸印刷 / 角田光正 / 株式会社 真映社 / 蒲田美佐子 / 亀井研二 / KAYU / 川口伊代 / 川島康太郎 / 川島雄太郎 / 川手眞理 / 川部重臣 / 神田亜美 / 菊地和広(バックヤード)/ 北村範史 / 九ポ堂 /guse ars/ 熊谷聖司 / Kumiko Hitomi[HI company Ltd.] / 小関祥子 / Kotoko KANETA / コトホギデザイン 池上直樹 / 小林和人(Rounda
bout/OUTBOUND)/ ごぼうデザイン事務所 / 坂本千明 / 佐藤未南子 / 佐藤礼子(リュース オ ボウ)/ 三戸美奈子 / 島谷美紗子 / しゅんしゅん / 菅原広夢 / STORE / 瀬戸直 / 武井実子 / 巽紀子 /charmy(小池雅美)/ 創る和紙職人ハタノワタル / 都筑晶絵 / Zwillinge / ツバメ活版堂 / 富田惠子 / トランクデザイン 堀内康広 / 内藤雅光 / 中澤季絵 / 長沢暁 / 中田真央 / 中村綾緒 / 西本良太・葉田いづみ / 二宮郁子 /knoten/ 芳賀八恵 / ハナブサプレス 両見英世 / fancomi / FALL・三品輝起 / 福室みずほ / ふじくらみほ / 史緒 / フルタヨウコ / 文京れんげ社(宇佐美智子/大木陽子)/ BEKA / 宝珠光寿 / 星幸恵 / 本の島 絵はがき部 / 正成美雪 / 益永梢子 / 松永かの / 松本亜季 / 丸山佐知子(Blackchrom)/ 萬田康文(Monday Books)/ 宮川麻紀 / みやしたゆみ / 宮島信太郎 / 村橋貴博 / 目黒洋子(megropress) / 百田智行 / 森岡書店 / 森田千晶 / 森雅代 / 山下桂樹(CATALYZE DESIGN)/ 山田理加 / 山之口正和 / 山元伸子(ヒロイヨミ社)/ 有限会社コスモテック / 吉田昌平 / 米谷明香 / 龍骨堂 伊東久美 / Little Hello / リン版画工房 / LUFTKATZE / 和田祐子 /and more......
-----

2010年12月29日水曜日

あと、2日

今年も残すところ、あと2日となってしまいました(早いっ)。年をまたいでしまう前に、10月の展示用に作ったツリーカードをご紹介させてください。来年は、もう少しブログの更新をまめにしたいと思いつつ…(がんばろう)。
megropressさんが参加していた「活版 in kamakura」(KAYA garelly mini)というグループ展に参加させてもらいました。予定が合わなかった為、残念ながら会場に伺えなかったのですが、yokoさんのおかげで、素敵に展示していただきました。いつも感謝です;-) 


森に自生するもみの木をイメージして


展示用のみ、雪が降り積もったホワイトツリーも


台形型のカードと封筒をセットして


まるい舞台にのせてもらった tree card たち

2010年9月3日金曜日

Commercial Type

Commercial Typeというサイトが、よく出来ていた。flashを使わずに、javascript(modalbox、prototype、effects、dragdrop 等)の組み合わせで、動きを表現しているみたい。ModalBoxは、例えるなら「MacOS X風のダイアログを表示するライブラリ」だそう。なるほど。dragdropは、Type Testのところで使われてるのかな。上部に表示されるローディングや、ボタン部分のハイライト表示が気が利いていて良い感じ。書体としては、guardianというイギリスの新聞書体も販売していた。

--
・ModalBoxのサンプル
effectsのサンプル
dragdropのサンプル
--

トップページは、ランダムに書体が紹介されて始まる。


詳細ページ内でプルダウンを選択した後、
エレベーターのような動きが心地よかった。
最小から最大まで一気にフレーム内の文字が移動する。
十字キーで、掴んで好きな部分を見ることも出来る。


これは、最大サイズになった時。


書体検索部分も、ボックスを複製したり、
削除したりが簡単にできるようになっている。
そして並べ替えも可能。


妹に旅行時に買って来てもらったイギリスの新聞、ガーディアン。
丁度デザインリニューアルの時のもの。

2010年8月24日火曜日

箱のワークショップ

先月、箱のワークショップ in 世田谷ものづくり学校 に参加してきた。久しぶりの都筑先生の授業、楽しかったな。他の生徒さんも良い方ばかりで、少人数だし、とっても充実。途中、あまりの集中に蝉の声が聞こえなくなったほど。先生も、終了の声をかけずらかったと言っていたっけ。(笑)

基本的には、先生のベーシックの授業を終えた人が対象とのこと。ボール紙を互い違いに組み上げて、ボール紙が見えないように、用紙を貼って完成。と、書くと簡単そうだけど、実際は、製本用ボンドが乾くのを待ちつつ、紙ヤスリで削りながら、削れた粉を隙間に埋めつつ、箱の一体感を出していくという地道な作業。でも、少しずつコツをつかめると、手作業ならではの面白さがあった。時間は、13時〜19時まで延長してもらったのに、残念ながら終わらず。翌日、家で2時間くらい集中して完成。製本では使わない道具(スコヤ 等)との出会いも、なかなか面白かったな。「箱 = プロダクト」を自分で作れる可能性が広がったのだから、また何かに発展させたい。


ベーシックで習ったものを入れてみた。


左は、最後にかけ足で習った紙の箱。右下は、夫の箱。


最近、気になった箱を2つ。自分用にメモ。

モノの美しさと香りに負けて、購入した ISSEY MIYAKE の香水の箱。流木に着想を得て誕生したとのこと。菱形という形態もセンスを感じる。


こちらは、木でできたマグネットを納めた箱。トレペの下から数字やブランド名「hum」がうっすらのぞいていて、さりげない感じが素敵。

横井軍平展って?

まったく興味がなかったけれど、たまたま聞くことになった、岩井俊雄さん、田中宏和さん、真鍋大度さん、牧野武文さんのトークイベント「横井軍平展」in VACANTが面白かった。

そもそも任天堂は、ゲーム会社だと思っていたけれど、当初は、花札・トランプを作っていたらしい。展覧会名になっている横井軍平さんという優秀な社員がいて、その方の影響を、岩井さんをはじめ、多くの人たちのモノづくりに、今も影響を与え続けていることを初めて知った。

もともと横井さんは、設備の保守点検が仕事で、暇つぶしに作ったマジックハンドが、たまたま社長の目にとまったところから、ゲームづくりをスタートさせたとのこと。マジックハンド以外にも、光線電話 LT(※1)、ラブテスター(※2)のような商品が、その当時おもちゃとして世に出ていたとは。

一番印象に残っているのは、岩井さんのプレゼンテーション。
会場の人たちに魅力を説明するには、なかなか難しいインタラクションゲームを、会場のプロジェクター以外に、ビデオカメラで手元を写したり、PCに切り替えたり、スーパーファミコンを準備したり、30分という短い時間を有効に伝えるための準備がされていて、岩井さんの作品に対する想いが伝わってきた。

内容的には、「Tenori-on」という商品がいきなり誕生した訳ではなく、サウンドファンタジー(ゲームソフト)、展覧会用に手売りしたゲーム機など、音と光を一緒に楽しむというアイデアをいくつか形にしながら、「Tenori-on」が生まれたことが分かった。岩井さんのゲームは、一般的なゴールに向かうゲームと違って、光と音を楽しみながら遊べる、操作側の創造に委ねている楽器ゲームのような印象を受けた。また、すべてのアイデアに、美意識のセンスを感じた。

ご本人曰く、横井さんとの共通点は、「光線電話 LT」と「Sound-Lens」という作品が、どちらも光と音の波長を置き換えることで成り立つ作品で、知らないうちに同じアイデアを形にしていたという話だった。

任天堂の強みは、ゲームキャラクターを記号に置き換えたとしても面白さが伝わることを心がけていて、「モノ」と「体」の関係で成り立つ、面白さの本質をとらえていることだと言っていた。アナログからデジタルまで、面白さをそのままにおもちゃを作り続けた数少ない人らしい。と、すっかり面白さに魅せられて帰ってきたという、不思議な1日だった。

※1: 声を光に変え、受けた光を音に変換するトランシーバーのようなもの
※2: 2人の相性によって針が振れるというもの

岩井さんのプレゼンテーションの様子。


商品化されたマジックハンド。


展覧会の様子。