引き戸を開けた感じが、茶室のにじり口を通る感覚に似ていた。
最初の授業は、先生のパリやスイス留学の話をスライドで見ながら、簡単な製本の知識を教えてもらい、どんな授業で、どんな作品を作って、どんな人に教わったかなど、実際の本や紙、道具を見せてもらいながら、のんびりした空気で始まっていく。そして、先生のお茶めっぷりも徐々に発揮されていく;-) 今まで、本の形に綴じてあるから「製本」だと思ってたけれど、折りにしても素材にしても、こういう作りも「本」なのかと目から鱗だった。
心残りだったのは、習いに行くことが精一杯で復習が出来なかったこと。毎週行く度にアイデアが浮かぶのに、実験したり、自分の好きな素材を集める余裕がなく終わってしまった。今年は、習った感覚を忘れないうちに、少し形にしてみたい。
最近はMacの作業がほとんどだけれど、指先に神経を集中して作る感覚が本当に心地よかった。ついつい頭で考えて作ろうとしてしまう。でも仕事柄、頭と手をバランスよく使うべきだな、と改めて実感。確か、AXIS誌のカバーインタビューで、岩崎一郎さんがそういうニュアンスで語っていたような気がする。
一番印象に残ったのは、先生の恩師にあたるかわいらしい女性(確か80歳くらい)の笑顔。今も現役の製本家で活躍されていたと記憶している。歳を重ねても現役でいられる仕事ということに憧れてしまう。世の中ではデジタル化が進む中、変わらない手技が存在することにホッとしてしまった。

この作品を見て、昔の会社の先輩に、美術館の何かに反対を表明する為に、画家たちのサインを集めたポスターを本で見せてもらったような記憶がある。それが誰の作品だったのか思い出したい…、うーん。


ムナーリの映像もyoutubeで見られることを発見。便利な時代だな、本当に。
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